楽天モバイルの「データ無制限で月額3,278円」といった魅力的な料金プランに惹かれ、「iPhoneと一緒に使ってスマホ代を節約したい!」と考えている方は非常に多いでしょう。確かに、うまく活用すれば大きなメリットがある組み合わせです。
しかし、その一方で、楽天モバイルとiPhoneの組み合わせには、事前に知っておかないと思わぬトラブルに見舞われたり、「こんなはずじゃなかった」と後悔したりする可能性のある、いくつかの「落とし穴」や「注意点」が存在することも事実です。
この記事では、楽天モバイルでiPhoneの利用を検討しているあなたが後悔しないために、直面する可能性のある問題点(対応機種、楽天リンク、通信品質、SIMロック、設定など)と、それを賢く回避するための具体的な方法を、元の情報量をできるだけ維持しながら、詳しく、そして正直に解説していきます。
メリットだけでなく、デメリットや注意点もしっかり理解した上で、あなたにとって本当に最適な選択なのかどうか、この記事をチェックリストとして活用し、じっくりと判断してください。
- 対応機種・OSに制限あり: iPhone 6s以降かつiOS 14.5以上でないと楽天モバイルは正常に動作しない可能性が高いです。古い機種では特に注意が必要です。
- 「楽天リンク」アプリに制約: iPhoneでは無料通話アプリ「Rakuten Link」の機能に制限があり、SMS送信が有料になる、着信が不安定になるなどの問題が指摘されています。
- 通信品質の問題: 地下や大型商業施設、建物の奥まった場所など、特定の環境では圏外になったり通信が不安定になったりする可能性があります。
- SIMロック解除が必要な場合: 2021年9月以前にドコモ・au・ソフトバンクで購入したiPhoneは、楽天モバイルで使う前にSIMロック解除の手続きが必要です(iPhone 13以降は不要)。
- 乗り換え・設定時の注意点: APNプロファイルの削除や回線切り替えタイミングなど、手順を誤るとスムーズに利用開始できない場合があります。
楽天モバイルとiPhoneの基本的な相性:魅力と課題
まず、楽天モバイルとiPhoneの組み合わせにおける、基本的な関係性を見ていきましょう。
楽天モバイルは、革新的な段階制定額料金プラン(Rakuten最強プラン)を提供しており、特にデータ通信を多く使うユーザーにとっては非常に魅力的な選択肢です。サービス開始当初は「繋がらない」「エリアが狭い」といったネガティブなイメージもありましたが、継続的なネットワーク改善(パートナー回線無制限化、プラチナバンド導入など)により、通信品質やエリアカバー率は着実に向上しており、現在では多くのユーザーにとって十分に推奨できるサービスレベルになっています。
しかし、それでもなお、特にiPhoneユーザーからは、いくつかの点について不満の声が聞かれることがあります。これは、楽天モバイルのネットワーク特性やサービス仕様と、iPhone(iOS)独自の仕様や制約との間に、いくつかの「相性の問題」が存在するためです。具体的にどのような点に注意すべきか、以下で詳しく見ていきましょう。
【注意点①】対応機種とiOSバージョン – 古いiPhoneは要注意!
楽天モバイルでiPhoneを利用する上で、まず最初に確認すべき最も基本的な点が、お使いの(または購入予定の)iPhoneのモデルとiOSのバージョンです。
厳格な対応機種・OSの制限
楽天モバイルが公式に動作確認・推奨しているiPhoneには、明確な条件があります。
- 対応OSバージョン: iOS 14.4以上が必要(安定利用のためにはiOS 14.5以上がより推奨されます)。
- 対応モデル: iPhone 6s / iPhone 6s Plus / iPhone SE (第1世代) 以降のモデル。これより古い機種(iPhone 6以前)は、残念ながら楽天モバイルでは利用できません。
古い機種での注意点:ネットワーク自動切り替え問題
さらに重要な注意点として、iPhone Xを含むそれ以前のモデル(iPhone 8, 7, 6sなど)では、楽天モバイル回線とパートナー回線(au回線)の電波状況に応じたネットワークの自動切り替え機能が、正常に動作しないケースがあると報告されています。
楽天モバイルは自社回線エリアとパートナー回線エリアを併用してサービスを提供していますが、この切り替えがスムーズに行われないと、電波状況が良い方の回線に自動で接続されず、通信が不安定になったり、速度が遅くなったりする可能性があります。(ただし、「Rakuten最強プラン」ではパートナー回線もデータ無制限で利用できるため、以前のような「パートナー回線に繋がると5GB制限がある」という問題は解消されています。)
対策としては、常に最新のiOSにアップデートしておくことで、多くの互換性問題は回避できる可能性が高まります。しかし、物理的に古い機種をお使いの場合は、これらのリスクがあることを念頭に置く必要があります。
【注意点②】楽天リンク(Rakuten Link)の制約とiPhoneでの限界
楽天モバイル最大の魅力の一つである、専用アプリ「Rakuten Link」を使った国内通話無料サービス。しかし、このRakuten LinkアプリとiPhone(iOS)の組み合わせには、いくつかの無視できない制約や相性の問題が存在します。
通話機能に関する主な制限事項
Rakuten LinkをiPhoneで利用する場合、iOSの仕様やセキュリティ上の制約により、Android版アプリでは利用可能な機能の一部が使えなかったり、予期せぬ挙動が発生したりすることがあります。
- 不在着信問題: 電話がかかってきても着信音が鳴らず、後から不在着信の通知だけが届くことがある。
- 受話不可問題: 着信画面は表示されるものの、応答操作(スワイプなど)をしても電話に出られないことがある。
- SMS送受信の制限: Rakuten LinkアプリではSMSの送受信ができません。SMSを利用するにはiPhone標準の「メッセージ」アプリを使う必要があり、送信時には通常のSMS送信料(文字数に応じて課金)が発生します(受信は無料)。Android版のようにSMSも無料にはなりません。
これらの問題は、iOSがアプリに対してバックグラウンドでの動作やシステム機能へのアクセスを厳しく制限していることに起因する部分が大きいため、根本的な解決が難しい場合があります。
通話品質の不安定さとアプリの機能不足
Rakuten Linkによる通話は、通常の電話回線(キャリアのVoLTEなど)ではなく、データ通信網を利用したIP電話(アプリ通話)の一種です。そのため、原理的に通話品質はインターネット回線の状況(電波強度、ネットワークの混雑具合など)に左右されやすく、必ずしも安定しているとは限りません。無料でかけ放題という大きなメリットがある反面、音質が若干劣る、遅延が発生する、途切れるといった可能性があることは理解しておく必要があります。ビジネスでの重要な通話など、高い通話品質が求められる場面での利用には注意が必要です。
また、Rakuten Linkアプリ自体の機能が、まだ標準の電話アプリに比べて発展途上な面もあります。例えば、特定の番号だけを着信拒否するような詳細な設定ができないなど、機能面での不足を感じるユーザーもいます。
対処法:通話方法の工夫で乗り切る
これらのRakuten Linkに関する問題を完全に解消することは難しいですが、以下のような工夫で影響を軽減することは可能です。
- 重要な通話は他の手段で: 仕事の会議や緊急連絡など、絶対に失敗できない重要な通話には、Rakuten Linkではなく、iPhone標準の電話アプリ(通常の通話料が発生)や、LINE通話、Zoom、Microsoft Teamsなど、より安定性が期待できる他の通話アプリを併用することを検討しましょう。
- 通話機能への依存度を下げる: 連絡手段を通話に限定せず、LINEや各種メッセージアプリ、メールなどを積極的に活用することで、Rakuten Linkの不安定さや機能制限によるストレスを回避できます。
【注意点③】繋がらない?電波・通信品質の問題点
楽天モバイルへの乗り換えを検討する際に、多くの人が最も気にするのが「電波はちゃんと繋がるのか?」という点でしょう。特にiPhoneユーザーから、特定の環境下での接続性に関する不満の声が聞かれることがあります。
圏外になりやすいとされる環境
実際のユーザーの声やレビューなどから、以下のような環境では楽天モバイルの電波が繋がりにくかったり、圏外になったりする可能性が指摘されています。
- 地下施設: 地下鉄の駅構内、地下街、ビルの地下駐車場など。
- 大型商業施設: 鉄筋コンクリート造りの大規模なショッピングモールやデパートの内部。
- 建物の奥まった場所: 窓から離れた部屋や、壁の厚い建物の中。
- エレベーター内
- 山間部やトンネル内の一部
「地下のレジでQRコード決済をしようとしたら圏外で焦った」「自宅の特定の部屋だけ電波が弱い」といった具体的な体験談も多く見られます。これらの問題は、楽天モバイルが主に利用している電波の周波数帯(Band 3など)が、障害物にやや弱い特性を持つことや、基地局の設置状況などが関係しています。
エリア対策:事前確認とWi-Fi活用でカバー
これらの電波問題を完全に避けることは難しいかもしれませんが、以下の対策を講じることで影響を最小限に抑えることは可能です。
- 事前のエリア確認は必須: 契約前に、楽天モバイル公式サイトの「通信・エリア」ページで、ご自身の自宅、職場、学校、よく行く場所などがサービスエリア(楽天回線、パートナー回線、プラチナバンド対応状況)に含まれているかを必ず確認しましょう。マップ上でピンポイントで確認できます。
- プラチナバンド対応に期待: 2024年6月から順次提供が開始された「プラチナバンド(700MHz帯)」は、建物内や地下にも電波が届きやすい特性を持っています。今後のエリア拡大により、繋がりやすさの改善が期待されます。
- Wi-Fiの積極的な活用: 自宅や職場、カフェなど、利用可能なWi-Fi環境がある場所では、積極的にWi-Fiに接続しましょう。これにより、モバイルネットワークの電波状況に左右されずに安定した通信を確保できます。特に屋内での利用が多い方は、自宅のWi-Fi環境を整えておくことが重要です。
【注意点④】SIMロックとiOS設定 – 乗り換え時の罠
他社キャリアからiPhoneを持ち込んで楽天モバイルに乗り換える際には、SIMロックとiOSの設定に関するいくつかの「罠」に注意が必要です。これらを見落とすと、スムーズに利用を開始できない可能性があります。
SIMロック解除が必要なケースと確認・解除方法
- 確認が必要な端末: 2021年9月30日以前にドコモ・au・ソフトバンクで購入したiPhone(目安:iPhone 12シリーズ以前)は、SIMロックがかかっている可能性があります。
- 確認方法(iOS 14以降):
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」→「情報」と進む
- 「SIMロック」の項目を確認 → 「SIMロックなし」ならOK。
- 解除手続き: SIMロックがかかっている場合は、元の契約キャリアのWebサイト(My docomoなど)やアプリ、または店舗(手数料がかかる場合あり)で解除手続きが必要です。楽天モバイル側では解除できません。中古で購入する場合は、必ず「SIMフリー」または「SIMロック解除済み」の端末を選びましょう。
- iPhone 13以降は解除不要: 2021年10月1日以降に発売されたiPhone 13シリーズ以降のモデルは、最初からSIMロックがかかっていません。
iOSの最新化は必須!
楽天モバイルのネットワーク機能を正常に利用するためには、iPhoneのiOSを常に最新バージョンにアップデートしておくことが非常に重要です。古いバージョンのままだと、通信が不安定になったり、一部機能が利用できなかったりする可能性があります。これは、楽天モバイルが比較的新しいネットワーク技術を採用しており、それらが最新のiOSの機能に依存しているためです。アップデートは「設定」>「一般」>「ソフトウェア・アップデート」から行えます。
乗り換え・設定時の注意点:APNプロファイルと回線切り替え
- 他社APNプロファイルの削除: 以前に特定の格安SIMなどを利用していた場合、古いAPN構成プロファイルがiPhone内に残っていることがあります。iPhoneは基本的にAPNプロファイルを1つしか認識できないため、楽天モバイルのSIMを設定する前に、必ず古いプロファイルを削除する必要があります(「設定」>「一般」>「VPNとデバイス管理」などから)。
- 回線切り替えのタイミング: 他社からMNPで乗り換える場合、回線の切り替え(開通)手続きを行う時間帯によって、実際に利用可能になるタイミングが異なります。楽天モバイルの場合、午前9時から午後9時の間に手続きを行えば、通常は当日中に開通しますが、午後9時以降から翌朝8時59分までに手続きした場合は、開通が翌日の午前9時以降になることがあります。即日開通させたい場合は、時間に余裕をもって手続きを行いましょう。
【注意点⑤】料金プラン – 本当にお得?使用量との兼ね合い
楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」は、データ無制限で月額3,278円という上限があるため、データをたくさん使うユーザーにとっては非常にお得です。しかし、一方で、データ使用量が非常に少ないユーザーにとっては、必ずしも最安の選択肢とは言えない可能性もあります。
例えば、毎月のデータ使用量が常に1GB未満で、Wi-Fi環境での利用がほとんど、という方の場合、他の格安SIMサービスには月額数百円で利用できるプランも存在します。楽天モバイルの最低料金は3GBまでで月額1,078円なので、データ使用量が極端に少ない場合は、他の選択肢と比較検討する価値はあるでしょう。
ただし、楽天モバイルには国内通話無料(Rakuten Link利用時)や楽天ポイントの特典といった、単純なデータ料金だけでは測れないメリットもあります。ご自身のデータ使用量、通話頻度、楽天サービスの利用状況などを総合的に考慮して、コストパフォーマンスを判断することが重要です。
もちろんメリットも!楽天モバイル×iPhoneの魅力再確認
ここまで注意点を中心に解説してきましたが、もちろん楽天モバイルとiPhoneの組み合わせには、それを上回る可能性のある多くのメリットが存在します。
- 料金の圧倒的な魅力: データ無制限で月額3,278円という上限付きの段階制料金は、やはり大きな魅力です。使い方によっては、大手キャリアから乗り換えることで月々のスマホ代を数千円単位で節約できます。
- 楽天ポイントの強力な特典: 楽天モバイル契約者は楽天市場でのポイント還元率が+4倍になるなど、楽天経済圏でのメリットが非常に大きいです。貯まったポイントは月額料金の支払いにも充当でき、実質的な負担をさらに軽減できます。
- お得なiPhone購入オプション: 「買い替え超トクプログラム」を利用すれば、最新のiPhoneを実質半額程度の負担で利用できます。また、乗り換えキャンペーンなどを利用すれば、高額なポイント還元や値引きも期待できます。
これらのメリットと、先に挙げた注意点を天秤にかけ、総合的に判断することが大切です。
楽天モバイル×iPhoneを快適に使うための最終アドバイス
これまで解説してきた注意点や問題点を踏まえ、楽天モバイルでiPhoneをより快適に、ストレスなく利用するためのアドバイスをまとめます。
- 最適なiPhoneの選び方:
- できるだけ新しいiPhone(目安としてXS/XR以降、理想は13以降)を選ぶ: 新しいモデルほど楽天モバイルのネットワークとの互換性が高く、回線の自動切り替えなどが安定して動作する傾向があります。特にiPhone 13以降ならSIMロックの心配もありません。
- 常に最新のiOSを保つ: OSのアップデートは、不具合修正や互換性向上のために不可欠です。通知が来たら早めにアップデートしましょう。
- 通話方法の工夫:
- Rakuten Linkの無料通話は魅力的ですが、品質の不安定さや機能制限も理解しておく必要があります。絶対に失敗できない重要な通話には、標準の電話アプリ(有料)や他の安定した通話アプリ(LINE通話など)を併用する、という使い分けを検討しましょう。
- 連絡手段をメッセージアプリ中心に切り替えることで、通話関連のストレスを減らすことができます。
- エリア対策:
- 契約前に必ず公式サイトでサービスエリアを確認し、自宅や職場などが十分にカバーされているかチェックしましょう。
- 不安な場合は、自宅や職場でのWi-Fi環境を整え、積極的に活用することで、モバイルネットワークの電波状況に左右されにくい環境を作りましょう。
【結論】あなたに楽天モバイル+iPhoneは本当に合っているか?最終チェック
楽天モバイルとiPhoneの組み合わせは、大きなメリットがある一方で、無視できない注意点も存在するため、すべての人に手放しでおすすめできるわけではありません。
【特におすすめできる人】
- 比較的新しいiPhone(XS/XR以降、特に13以降)を利用している、または購入予定の人
- データ通信(動画視聴、ゲーム、テザリングなど)を頻繁に利用する人(データ無制限の恩恵が大きい)
- Rakuten Linkの通話品質や機能制限を許容できる、または通話よりデータ通信を重視する人
- 楽天市場など、楽天経済圏のサービスをよく利用している人(ポイント特典が大きい)
- コストパフォーマンスを最重要視する人
【あまりおすすめできない、または注意が必要な人】
- iPhone X以前の古いモデルを使い続けたい人(ネットワーク切り替え等で不安定になる可能性)
- 仕事などで、常に安定した高品質な通話機能が不可欠な人(Rakuten Linkの不安定さがネックになる可能性)
- 地下や建物内など、特定の場所での安定した通信環境が絶対に必要な人(エリアや電波品質に不安が残る可能性)
- 毎月のデータ使用量が常に3GB以下で、通話もほとんどしない人(他の格安SIMの方が安くなる可能性)
楽天モバイルとiPhoneの組み合わせには、確かにいくつかの「落とし穴」が存在します。しかし、これらの注意点を事前にしっかりと理解し、適切な機種を選び、最新のiOSを保ち、自分の利用スタイルに合わせた工夫をすれば、多くのユーザーにとって非常に満足度の高い、コストパフォーマンスに優れた選択肢となり得ます。
楽天モバイルへの乗り換えを検討しているiPhoneユーザーの方は、ぜひこの記事で解説した注意点をチェックリストとして活用し、ご自身の状況や使い方に照らし合わせて、「自分にとって本当に最適な選択なのかどうか」を慎重に判断してください。知識を持って賢く選べば、きっと後悔のない、快適でお得なモバイルライフが手に入るはずです。
コメント